中措 大樹さんの留学報告

MBAについて

MBAとは、Master of Business Administrationの略称で日本では経営学修士と訳される。これは主に、アメリカの経済大学院において与えられる大学院学位であったが、現在、同様の学位はアメリカだけでなくイギリス・香港・シンガポール・スイス・フランス等の国の大学でも出している。これはアメリカの非営利団体で、全世界でTOEFL(Test of English as a Foreign Language)やGMAT(Graduate Management Admission Test)を実施しているETS(Educational testing Service)が発行しているMBA official guideに認定されなければならない。日本に関しては、現在のところ本格的に始動しているのは新潟国際大学のみである。この大学では授業はもちろん英語で進められ、その上内容が高度な経済専門用語が多いため、かなりの英語力が必要とされる。慶応大学・早稲田大学・神戸大学にもMBAと称されるものはあるが、内容は同じでも日本語で授業を行うため正式なMBAと認められていない。最近は、アメリカの大学が日本でMBA講座を開いたり、企業がMBAと同様の講習を行ったりと、日本でMBAに接する機会が増えている。

MBAは、経営の基礎となる理論を学び、将来の有能な経営者を養成するためのコースである。講義は、ミクロ経済学・統計学・会計といったビジネスの基礎から、戦略論・環境論・人事論といった多岐にわたる範囲に飛躍する。経営学を研究するのではなく、現実のビジネスを学問的に裏付け、解析、研究し、またビジネスに活かすという、多様性社会に勝ち行くための経営道を学ぶのである。4年制大学を卒業した者がこの修士学位を取得できる。これは通常2年、プログラムによっては1年程(ヨーロッパの大学院が多い)で取得することが可能である。評価は後で詳しく述べるが、3〜5年位の職歴があるとその実績も評価の一つとなり得る。大学までの机上の勉強では事足りず、MBAでは企業での実務・実際の経験が役に立つのである。そして、やる気と実力があれば男女を問わず機会を与えられる。現在、アメリカの大企業への入社はMBAが必須条件となっている。遅れ馳せながら日本も企業派遣留学が企業のグローバル化の一環として登場した。これは企業の幹部候補生養成所・将来の即戦力者養成所と謳われている。こうして企業派遣留学が脚光を浴び初め15年が経ち、現在、日本からは毎年500名程がアメリカ等へMBA留学をしている。

アメリカではランク上位10校のMBAが価値あるものとされる。これは、大学・在校生・卒業生に様々な影響を及ぼす。この他、ビジネスウィークやUSニュースといった雑誌のランキングが有名で、約50校が記載されている。この50校の2年制コースだけで約13,000人が毎年MBAを取得する。さらに、夜間コースや週末コースなども含めると毎年60,000人から70,000人が取得していると言われる。

MBAは、そのタイトルだけで一生食べるのに困らないと誤解されがちである。先に述べたように、アメリカではMBA取得が当たり前になってきており、またいくら優秀な成績を残したからと言っても、現実のビジネスに活かせないような資質では将来の発展性はないと言える。確かに東南アジア地域においては、MBAを取得していると就職に大変有利であるし、待遇・賃金の面でも大幅アップが期待される。日本での第1次MBAブームと呼ばれるバブル経済期には、約8割が企業派遣学生であった。そして最近は第2次ブームと言われ、日本の企業を退職し、費用は自己負担でアメリカ等へ渡航する者が増えている。これは近年の相次ぐ大企業倒産により、企業の信頼性の低下、終身雇用制への疑問の表れであると言える。MBA後進国とも言え、バブル崩壊後の経済の立ち直りが未だにできない日本では、より効率的な経営が叫ばれており、経営の専門家・MBA取得者の果たす役割は今後ますます大きくなっていくであろうと考えられる。


  1. はじめに
  2. MBAについて
  3. AITの紹介
  4. 各国の学生
  5. AITへ留学する方へ
  6. 留学に対する提案
  7. 添付資料:AITの紹介(タイ日本人会会報「クルンテープ」への掲載記事より)

[AITでの活動報告]
須崎純一 京都大学大学院 工学研究科社会基盤工学専攻 空間情報学講座