ここでは、GRASSというGISソフトウェアを使った簡単な演習を説明しています。GRASSではリモートセンシング画像も表示、処理できます。このページは、GRASSのGUIでの操作を説明していきます。
[GRASSのインストール、標高データを用いた地滑り危険度マップの作成]
[植生指数 (NDVI) の計算、表示]
[標高データ (SRTM)の表示、植生指数 (NDVI) の3次元表示]
[反射率、輝度温度、標高データを用いた土地被覆分類]
[QGIS, Rを用いた公示地価データの空間統計分析:空間的自己回帰モデル]
[QGIS, Rを用いた公示地価データの空間統計分析:静的な時空間モデリング]
本演習内容: |
![]() この演習で最終的に得られる画像 |
QGISとセットになったGRASSのインストーラーをダウンロードする。
プログラムの中の「OSGeo4W」の中に「GRASS GIS」のアイコンが生成されている。それを選択して、GRASSを起動する。
データを保存するディレトクリ(フォルダ)を指定。任意の場所で構わないが、スペースなしの英語名のディレトクリを指定する必要がある。一例を下記に示す。
C:\GRASS_data
GISデータディレクトリ: C:\GRASS_data プロジェクトロケーション:ETM Location Title: PERMANENT
「デフォルト領域と解像度をセット」のボックスにはチェックを入れない。
「Start GRASS session」というボタンをクリックすれば、GRASSの操作画面が表示される。
本講義用の衛星画像のファイル(p110r036_7t20011015_z53_nn30.tifなど)を、自分のGRASS用のディレクトリ(例えば、C:\GRASS_data\ETM\PERMANENTの中にコピーする。
※ETM+ (Enhanced Thematic Mapper Plus) 画像のダウンロード:本演習では既にダウンロード済みで上記URLにコピーしてあるが、今後は下記のWebサイトからダウンロードするといい。
Landsat ETM+画像の、バンド3、4、5を、それぞれ「b3」「b4」「b5」という名前でインポートする。下記にコマンドを示すが、GUI上で処理する。ちなみに、ETM+画像のバンド3、4、5は、それぞれ緑、赤、近赤外の波長に対応している。
現れた画面上で下記のように、バンド3の画像を「b3」としてインポートする。
画像ファイルの範囲をデフォルト領域に設定する。
注意:この範囲設定を正しく行わないと、領域の範囲が行方向(column)に1画素、列方向(row)に1画素しか存在しない設定になっているため、以下の処理が実行できません。
衛星画像に記録されているのはDigital Number (DN) と呼ばれる単なる数値である。DN値自体には意味がなく、DN値から変換される放射輝度、反射率は地表面の反射特性を表す物理量であり、地表面の種類や状態を推定するのに活用される。また、植生の密生度合いを反映する植生指数の一つであるnormalized difference vegetation index (NDVI) は放射輝度や反射率から計算するのが一般的である。また放射輝度あるいは反射率は、そのままでは大気上端での放射輝度や反射率を意味するので、大気補正を実施してからNDVIを計算することもある。ここではまずDN値から放射輝度を求める手順を説明する。
「p110r036_7x20011015.met.txt」というファイルをテキストエディタで(Wordpadでも何でも)開いてみる。すると、下記の記述を見つけるだろう。
GROUP = MIN_MAX_RADIANCE (中略) LMAX_BAND3 = 152.900 LMIN_BAND3 = -5.000 LMAX_BAND4 = 157.400 LMIN_BAND4 = -5.100 LMAX_BAND5 = 31.060 LMIN_BAND5 = -1.000 LMAX_BAND61 = 17.040 LMIN_BAND61 = 0.000 LMAX_BAND62 = 12.650 LMIN_BAND62 = 3.200 (中略) END_GROUP = MIN_MAX_RADIANCE GROUP = MIN_MAX_PIXEL_VALUE (中略) QCALMAX_BAND3 = 255.0 QCALMIN_BAND3 = 1.0 QCALMAX_BAND4 = 255.0 QCALMIN_BAND4 = 1.0 QCALMAX_BAND5 = 255.0 QCALMIN_BAND5 = 1.0 QCALMAX_BAND61 = 255.0 QCALMIN_BAND61 = 1.0 QCALMAX_BAND62 = 255.0 QCALMIN_BAND62 = 1.0 (中略) END_GROUP = MIN_MAX_PIXEL_VALUE
Landsat ETM+の場合、以下の式に従ってDN値から(大気上端の)放射輝度へ変換する(一般的に下記の式のようにgainとoffsetを用いた線形式で記述される)。
上記の式をGRASS上で記述し、変換する。DN値が0の時は放射輝度(L3やL4, L5)を0に設定する条件処理を行う。
Landsat ETM+に限らず、全ての衛星画像において、以下の式に従って大気上端の放射輝度から大気上端の反射率へ変換できる。大気上端 (top of atmosphere) ということで、TOA radiance, TOA reflectanceと表現されることもある。
ここでは、バンド3, 4, 5の反射率r3, r4, r5を求めてみる。
表1: Landsat7 ETM+の大気圏外太陽照度Eλ | |
---|---|
バンド | Eλ (W/m2/μm) |
1 | 1970 |
2 | 1842 |
3 | 1547 |
4 | 1044 |
5 | 225.7 |
7 | 82.06 |
上記のパラメータを利用して、放射輝度と同様に「r.mapcalc」という関数を用いて処理する。
Normalized Difference Vegetation Index (NDVI) という植生の密生度合いを反映した指標を計算する。NDVIは-1から1の値を取り、植生が多いほど1に近い値を取る。
この処理後に、GRASSに既に用意された、NDVIに対応したカラーテーブルを適用する。
色付けの変更:
最終的に得られるNDVI画像を下記に示す(クリックすると拡大画像が表示される)。
表2: Landsat5 TMのDN値から放射輝度への変換係数 | ||||
---|---|---|---|---|
バンド | Lmin,λ (W/m2/μm) | Lmax,λ (W/m2/μm) | Qcalmax | Qcalmin |
1 | -1.52 | 193.0 | 255 | 0 |
2 | -2.84 | 365.0 | 255 | 0 |
3 | -1.17 | 264.0 | 255 | 0 |
4 | -1.51 | 221.0 | 255 | 0 |
5 | -0.37 | 30.2 | 255 | 0 |
7 | -0.15 | 16.5 | 255 | 0 |
表3: Landsat5 TMの大気圏外太陽照度Eλ | |
---|---|
バンド | Eλ (W/m2/μm) |
1 | 1957 |
2 | 1826 |
3 | 1554 |
4 | 1036 |
5 | 215.0 |
7 | 80.67 |
[GRASSのインストール、標高データを用いた地滑り危険度マップの作成]
[植生指数 (NDVI) の計算、表示]
[標高データ (SRTM)の表示、植生指数 (NDVI) の3次元表示]
[反射率、輝度温度、標高データを用いた土地被覆分類]
[QGIS, Rを用いた公示地価データの空間統計分析:空間的自己回帰モデル]
[QGIS, Rを用いた公示地価データの空間統計分析:静的な時空間モデリング]